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「たくましい心」育てる一助に さいたま市/紙芝居グループ「紙こばこ」 |
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紙芝居実演中の藤森さん |
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木々の緑に包まれた北浦和公園(さいたま市浦和区)の一角から、カチッカチッと昔懐かしい拍子木の音が聞こえて来る。その音に誘われるように、母親に手を引かれた幼児たちや、保育士に連れられた近所の保育園、幼稚園児が三々五々集まって来た。紙芝居グループ「紙こばこ」が毎月第1・3水曜日に行う紙芝居の始まりだ。
伝統的な文化に誇りを 自作の紙芝居も発表
今日の話は「アンパンマン」を始め「てるてるぼうず」、「バナナがいっぽん」など5作。演じているのは「紙こばこ」の会員たちだ。1話ずつ交代で、時には歌などを交え優しく語りかける。時間にすると30分ほどだが、子供たちは飽きることなく食い入るように見入っている。偶然立ち寄ったという母親は「全然知りませんでした。びっくりしました」と紙芝居に見入るわが子の姿を携帯電話のカメラに収めていた。
代表の藤森勲夫さん(66)は「子供たちが良質の紙芝居を通じて『夢と勇気と愛』の大切さを感じてくれ、将来明るく、やさしく、しんのしっかりした人になってくれたらと願っています。それから、地球環境の問題や日本の伝統的な文化などにも見識や誇りを持った人になってもらえたらうれしいです。現在、教育の見直しが叫ばれていますが、子供たちの本来持っている美しい、たくましい心を育てるささやかな一助になれたらと思います」と語る。
発足のきっかけは2000(平成12)年、当時の浦和市立針ケ谷公民館主催の「手作り紙芝居講座」が行われたこと。メンバーは紙芝居の歴史などを学ぶとともに共に、先生の懇切丁寧かつ厳しい指導のもと、各人がストーリーから作画まですべて手作りで1組12枚の紙芝居を製作した。何度も描き直して苦労を重ねた結果、自分でも驚くほどの素晴らしい作品ができ上がったことに喜びを感じ、「このまま終わるのは寂しい。紙芝居グループを作って自分たちの作品を増やしたり、実演活動などもしよう」と設立した。
現在のメンバーも当時のままの男性1人、女性5人だ。
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紙こばこのメンバー
(右から藤森さん、中尾さん、磯さん、長井さん、谷口さん、吉田さん) |
活動場所は、北浦和公園のほか、針ケ谷公民館、老人養護施設やグループホーム、保育園、幼稚園、自治会の祭りなど、自転車で行ける範囲なら都合がつくかぎり、出向くという。年代に合わせた手作りおよび市販の紙芝居を用いての実演、工作指導のほか「針ケ谷郷土かるた」の作成、普及活動なども行っている。
紙芝居サミットにも参加
実演の最中、子供たちがキラキラした目で見て「面白かった」と喜んでくれること、街角で「アッ、紙芝居のおばちゃんだ!」と駆け寄って来てくれるときや、お年寄りが昔話の紙芝居を見ながら涙ぐんでいるときなどに喜びや生きがいを感じるという。
日ごろの勉強に加え、毎年国内各地、東南アジアの紙芝居グループや紙芝居に興味を持つ人々が集まって行われる「紙芝居サミット」にも参加し、技術の向上、研さんに励んでいる。
『子らの夢青空とどけ紙芝居 藤森吟二 (藤森代表の柳名)
問い合わせ:TEL 048-854-6305(藤森)』 |
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