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農業体験用の畑を紹介してくれた中島さん。
おいしいと評判の米「ミルキークイーン」を栽培し、直販も行っている |
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障害者に農業体験 6月7日に田植え
鴻巣市で農業を営む中島信一郎さん(72)は障害者に向けて、農業体験を行う機会を設けている。6月には田植えと、ジャガイモ・タマネギ掘りを行う。子どもや高齢者も参加できる。参加者の歓声がやりがいとなり、2003(平成15)年から続けてきた。
「わたしは、あと何年続けられるか。人間の持つ無限大の可能性を引き出すことが大切。誰かに引き継いでもらいたい」と後継者を募っている。
2002年、中島さんは母親のために埼玉トヨペットで福祉車両をモニターで借りた。同社ショールームを活動拠点とする民間団体「はあとねっと輪っふる」は、中島さんの家が代々農業を営んでいることを知ると、障害者に農業体験をさせてくれないかと話を持ちかけた。同団体は年齢や性別、障害の有無を問わず、さまざまな立場の人が仕事や遊びを通して社会とのつながりを持つために活動している。
旧埼玉県農業試験場(現埼玉県農林総合研究センター)に勤務時代、中島さんは障害者と一緒に働いた経験があった。
「役割分担をすれば問題なく仕事ができることを知っていましたので、依頼が来た時『できる』と思いました」
活動は2003年6月から開始。中島さんの田畑約450坪を使って、知的障害者、身体障害者、健常者の子どもと高齢者、ボランティアメンバーたちが、種まき、田植え、稲刈り、ジャガイモ・タマネギ掘りなどを行う。
最初にぶつかった壁は、車いすが必要な人をどうやって田んぼに入れるか。悩んだ末、ゴムボートを浮かべ、介助者が押す方法に。だが、ボートに乗りたくないという人もいる。そのため、道路から、ポット苗を使った投げ植えを考えた。
「後継者がぜひほしい…」
根についている泥が重しとなるので飛ぶそうだ。
「初めて農業体験した人は、田んぼがヌルヌルしているので気持ち悪がっていましたが、次第に気持ち良くなってきたそうです」
また農薬を極力使わないため、田んぼにはカエルがいっぱい。「子どもたちはカエルをつかまえるのに夢中になっちゃいましたね」
5年経って、上手に作業する子どもが増えた。「器用な子どもが多いですよ。車いすから足で種まきする子もいます」。視覚障害者も、サポートを受けながら手探り状態でジャガイモを掘る。「掘り当てたときの歓声はすごいよ」。その声を聞くとやりがいを感じると中島さんは語る。「農業体験参加者の中から農業をやりたいという人が出てくるとうれしいね」
1回にボランティアも含め、幼児から80歳くらいまで100人以上参加する。東京から来る人も。妻の和子さん(68)を始め、息子の家族も手伝う。中島さんが作った農作物で昼食をとるなど、楽しい雰囲気で進み、終了後は公民館で反省会。「また参加したい」との声が多く、参加者の家族も喜んでいるそうだ。
「人間は無限大の可能性を持っています。それを引き出して伸ばしてあげるのが大事。わたしたちも年ですし、体力面でも難しくなっている。この活動が各地に広がって、引き継いでくれる人が現われてくれれば」と中島さんは願う。
◎田植え情報
6月7日(土)午前10時〜午後3時の予定。その後にジャガイモ掘りとタマネギ掘りも行う(日程未定)。参加希望者は事前に連絡を。
問い合わせ:TEL 048-542-5317(中島さん) |
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