|
|
シャンソン歌手人生がスタート 見沼区/吉野あずささん |
|
|
|
自宅にある、防音設備の整った部屋で練習する吉野さん |
|
27日、大宮でコンサート
見沼区の吉野あずささん (53) が27日 (日)、自身の誕生日に市民会館おおみや小ホールでコンサート「出発 (たびだち) の詩 (うた)」を行う。吉野さんは3月に小学校の音楽教師を退職。30年間の教師生活を卒業し、念願のシャンソン歌手として本格的な活動を開始する。これまで教師を続けながら、シャンソン歌手・戸川昌子さんに弟子入りし「青い部屋」などで歌ってきた吉野さん。「これからは好きなことだけやっていきたい。わくわくしています」と瞳を輝かす。
30年の教師生活を卒業
シャンソンは学生時代から好きだった。高校生の時、小海智子さんや金子ゆかりさんの歌声に魅了された。国立音楽大学在学中には有馬泉さんにシャンソンを習った。一緒に習っていた友人が、今や有名なシャンソン歌手になったことを知り、「わたしもやっていれば…」と思ったことがシャンソン再開のきっかけに。
音楽教育専攻だった吉野さん。父親が教師だったこともあって、教師の道へ進み、シャンソンは卒業とともにやめた。「30年間の教師生活は楽しかったので悔いはありません。でも、あと30年くらいで死んでしまうのかと思うと、これからはわたしの人生、好きなことだけやりたい」
吉野さんはこれまでに2度、シャンソンを再開しようと試みている。だが、子育てや仕事のため続かなかった。そして「3度目の正直」と、10年ほど前にシャンソン歌手・戸川昌子さんに「お弟子にしてください!」と頼んだ。
「戸川先生はわたしのことを『お嬢ちゃん』と呼んで、歌の指導というより人生の話などをしてくれました」
仕事をしながら歌を習い、1996 (平成8) 年10月14日、東京・渋谷にある戸川さんの店「青い部屋」でデビューした。「18歳の彼」や「ボンボヤージュ」を歌った。
始めた当初は夢中で、毎週土曜日にスナックなどの店で出演料なしで歌った。終電を乗り継いで帰宅した。
|
「青い部屋」でのデビューライブで
歌う吉野さん |
厳しさ覚悟でデビュー
そして一昨年には10周年記念コンサートも行った。
昨年二男が就職して家庭での役割がひと段落したと感じた吉野さん。若さがあるうちに本格的に再開しようと決意した。同じ教員である夫は一番のファン。2人の息子も陰ながら応援してくれる。
音楽教師といえども、地声で歌うシャンソンは難しいと言う。「ボイストレーニングはいろんな先生について、たくさん行いました」。シャンソンは、7〜8年前から現在まで堀内環さんに師事している。
自分の味を出して 歌一本で勝負する
シャンソンの魅力は、人生経験を重ねたからこそ歌える歌がたくさんあること。「18歳の彼」も、10年前よりいまのほうが歌詞を深く理解できると言う。戸川さんも「シャンソンは40代では子ども。50、60になった時に自分の味を出せるから、自分の人生、自分で納得して生きて、生きざまを反映させないとシャンソンは歌えないわよ」と言ったそうだ。
これまでは、教員とシャンソン歌手という二足のわらじを履いて頑張る吉野さんを応援するファンが多かった。だが、これからは歌一本での勝負。出演料ももらい、控えていた宣伝も積極的に行っていくつもりだ。「本当の意味でのデビューは4月から。厳しさを覚悟しつつ、わくわくしています」
30周年迎えるまで 歌で心和ませたい
「歌にはその人のすべてが出てしまう」と吉野さんは話す。「後ろ指さされないような生き方をして、基礎をひとつひとつ練習していきたい」。そして、ひと声で観客を感動させるような歌手になりたいと語る。
「わたしの歌を聞いてくださった人の心が和んでもらえるように、と歌っています」。これからはシャンソニエやホールで歌い、CDも作りたい、と夢は膨らむ。「30周年を迎えるまで続けたいですね」若いころの夢を実現させた吉野さんの歌は、定年世代への応援歌だ。
◎吉野あずさシャンソンコンサート「出発の詩」
「愛しかない時」といったシャンソンの名曲のほか「百万本のバラ」なども歌う。
日時:27日(日)午後2時半開演
場所:市民会館おおみや小ホール(JR大宮駅徒歩15分)
入場料:1000円
TEL:048-685-6931 |
|
| |
|