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地域で自分らしく活動する棚橋さん。
「以前は地元で人に声を掛けられると『あの人誰?』と妻に聞いていましたが、今は立場が逆。それはうれしいです」(自分の作品の前で) |
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サークル、ブログを立ち上げる
16日 (日) まで新座市のあたご菅沢すこやか広場で、同市在住の棚橋利行さん (73) の写真展「伝統・民俗芸能と子供たち」が開催されている。棚橋さんは退職後、写真展を開催したり、サークル「にいざ歴史文化財研究会」を立ち上げたりと多彩な活動を行っている。2007年5月にはブログ (インターネット上に公開されている日記のようなもの)「定年人生ハッピーライフ」を開設。棚橋さんは「定年後何をしたらいいか迷っている人に、等身大の立場から『こんなやり方もありますよ』と元気づけたい」と話す。
16日まで写真展 伝統芸能を撮る
「今でも現役だと思っていますので、サラリーマン時代のことを『現役時代』と表現するのは嫌いです」と言う棚橋さんは、大手信販会社を定年の5年前、60歳の時に退職した。
「会社を辞めてしまうと、もう一度仕事をする気は起きません。好きなことをやろう、と思いました」
もともと芸能が好き。公民館の講座や文化財ガイドの講習に通って、埼玉のこと、地域の歴史に目を向けるようになった。
サラリーマンの時は、早朝に出勤して夜中に帰宅。30代から住んでいる埼玉のことはほとんど知らなかった。
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棚橋さんの写真「武州里神楽 剣玉之誓」
(2007年6月/こしがや能楽堂で撮影) |
等身大の人生観を伝えたい
地元の歴史を知ると、文化財を見ることも楽しくなってきた。00年には、ガイドの講習を一緒に受けた仲間と、サークル「にいざ歴史文化財研究会」を設立。現在メンバーは同世代の13人。家族や知人を誘っての散策や、月2回の例会が主な活動だ。メンバーはそれぞれテーマを持っていて、神社仏閣に興味を持っている人は宮司にインタビューしたりしている。年4回発行する会報を作るのは棚橋さんの役割。
「ものを知る楽しみと、誰かに発表する楽しみがあります」と話す。
誰しも少なからず自己表現の欲求があるからか、定年後に自分の趣味を発表する場を設ける人は多い。棚橋さんはサークル開始と同時期に始めた写真の趣味でも、年に1〜2回、新座の歴史・文化をテーマとして展覧会を開催している。一方で、市民講師として定年後の人生について話す機会もある棚橋さんは、当事者同士でもっと語り合いたいという思いがある。
「公の場で定年後についてコメントする人は評論家などで、実際に会社を定年退職して、昨日と今日と全く違う生活に入る経験のある人はほとんどいません」
さらにメディアで取り上げられるのは特別な活動をしている人ばかり。平凡ながらも生きがいを感じられる等身大の生き方を知りたいのに─。
「自分の活動を通じて、定年後の生き方に迷っている人に『こんなやり方もありますよ』と伝えたい」とブログ「定年人生ハッピーライフ」を開設した。ブログはテレビ番組で紹介されていたことがきっかけで興味を持った。Eメールもインターネットも利用したことがなかったのだが、電器店の店員に質問しながら作った。「定年人生」には棚橋さんの活動や、定年後の人生についての考えがつづられている。
特に宣伝はしていないが、開設から半年でアクセス数は6000件以上になった。返事はなかなか投稿されないが、これから等身大の定年人生の意見交換を期待したい。
「わたしはやりたいことをやって忙しくてしょうがない。ピンピンコロリンと死ぬためには、『忙しい忙しい』に勝る健康法はなし、と思っています」
◎写真展「写真展「伝統・民俗芸能と子供たち」
場所 : あたご菅沢すこやか広場はJR新座駅からバス
TEL : 048-482-0570
ブログ : 定年人生ハッピーライフ (外部サイト) |
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