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特許で空き家対策に妙案 NPO「地域再生推進協議会」・黒瀧英俊さん |
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黒瀧さん。NPO「地域再生推進協議会」の前で |
賃貸含め15年居住で土地建物所有権取得
日立市の山側にある、1960年代から80年代ころにかけて整備された数々の団地(土地付き一戸建てが並ぶ住宅地)では、高齢の住民が多くなり、空き家も増加。市の中心部へと結ぶバスが減便された団地もあり、車の運転が困難な高齢者にとっては、買い物や通院などの不便が増加しつつある。この状況を受け、日立市の不動産会社の(株)優住館は、NPO法人「地域再生推進協議会」を立ち上げた。同NPOは将来の過疎化を見据え、団地を含めた空き家物件の有効活用のため、特許を取得している。また、空き店舗を利用した交流施設で、高齢者支援なども行う予定だ。「少子高齢化により取り残された土地建物の活性化を目指し、地域再生活動を行います」と同NPO統括業務責任者の黒瀧英俊さん(71)は話す。
黒瀧さんは、(株)ヤマダ電機リフォーム部を65歳で定年退職。同社で不動産関係の仕事をしていたので、4年前に土地の有効活用をしようと同市の金沢団地に目をつけ、(株)優住館(代表者:菊池惠子)を設立し、黒瀧さんが統括業務責任者に就任した。「事業を始めてみると、コミュニケーションがとれず一日中、テレビを見ている高齢者の存在や空き家の増加などの問題をひしひしと感じました。また、空き家を活用しないともったいないとも思いました」
全国での空き家対策にも適用可
そこで、空き家物件を有効活用しようと同社で、昨年9月に特許「不動産取得システム」を取得した。特許の開発者は黒瀧さんだ。この特許は、「居住用建物定期賃貸借10年+分割払い不動産契約5年」というシステム。空き物件賃貸者は、例えば土地建物の購入価格が700万円の物件の場合、賃貸料5万円を10年間土地建物の所有者に支払えば(月5万円×12カ月×10年=600万円)、残りの100万円をその後の5年間で分割して支払うというもの。15年間居住すれば、土地建物の所有権を取得できるのだ。「契約時は賃貸契約なので住宅ローンが組めない、組みたくない人でも契約ができます。子育て世代にも利用してほしいですね」。この特許は、全国の空き家対策に適応できるという。
そして今年の4月、同社は空き家の有効活用と高齢者の支援などを行うNPO「地域再生推進協議会」を立ち上げ、黒瀧さんはこちらでも統括業務責任者に就任した。「地域再生活動に関わったことで、空き家対策や人口減少などに危機感を持っている人たちに出会え、問題を共有できたことがうれしいです」と黒瀧さん。
移住希望者との出会いにも期待
同NPOは金沢団地内の空き店舗(日立金沢団地内郵便局隣)を再利用し、同NPOメンバーと地域住民との協力で、高齢者支援などのための「おむすび店舗」を今秋にオープンする予定だ。「イートインスペースもありますのでコミュニケーションの場となります。ここで会話が生まれ、高齢者のみならず子育て世帯との交流の場、移住希望者との出会いの場になればと思っています」と黒瀧さんは目を輝かす。
問い合わせは地域再生推進協議会 Tel.0294・33・6105 |
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