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日立地方ゆかりの文学を総覧 郷土史愛好家・會澤隆司さん |
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會澤さん。玉簾の滝で |
郷土の文芸作品、石碑を記した「日立の歌枕」出版
日立市の郷土史愛好家・會澤隆司さん(72)は昨年11月、「日立の歌枕」を自費出版した。「歌枕」とは、「和歌に詠まれて有名になった名所や旧跡」のこと。同書には日立市内で和歌、漢詩、俳句、文章(小説など)に取り上げられた場所が網羅されている。會澤さんは、新田次郎、吉村昭など約120人の作家・歌人らが著した日立地方に関する詩歌、紀行文などの文芸作品と石碑を約3年かけて収録・編さんした。「『日立にこんな人が来ているのだなぁ』『近所にこんな石碑があるのだなぁ』など、日立の文学に興味を持っていただき、魅力を感じていただければうれしいです」と會澤さん。
會澤さんは、60歳で信用金庫を定年退職。それからしばらくして、25歳のときから属していた日立市の呉坪(現・中深荻町)にある地域のボランティア団体「若睦会」の会合に出席したときのこと。「『若睦会』がちょうど40周年になるので呉坪の歴史、年中行事、神社、寺などについて書いてもいいね」ということになり、會澤さんが中心となり2016年に「呉坪物語」を出版した。
さらに會澤さんは、居住している同市中里の歴史、地形、地質、気候などについてまとめた「中里風土記」を19年に自費出版するまでに。執筆のため郷土のことを調べれば調べるほどその魅力に引き込まれていった。「徳川光圀、徳川斉昭、藤田東湖、篠原香山などが日立市の玉簾に来て、歌を詠んでいます。日立市全体だとどのくらいの歌が詠まれているのだろうか?」と興味を抱いた會澤さん。「このまま広く知られることのないままでいるのはもったいない」と「日立の歌枕」執筆を決意した。
會澤さんは、20年2月から日立市や常陸太田市の図書館、日立市郷土博物館などで「日立市史」「郷土ひたち」など約200冊の本を調べた。そして、吉田松陰、杉山復堂、長塚節、大竹孤悠など約120人の文芸作品と市内の石碑をまとめ上げて、22年11月に「日立の歌枕」を自費出版した。石碑は、「日立の碑」「茨城の文学碑・名碑百選」などを参考にし、不確かな石碑は実際に見に行った。「写真を撮りに行くと、大方の石碑は悲しいかな草に覆われていて、鎌を持っていかなければなりませんでしたね」

「日立の歌枕」A5版260ページ。非売品。日立市や常陸太田市の図書館、茨城県立図書館、日立市内の交流センター、同市内の全高校、常陸太田市の高校(2校)に寄贈された |
「日立の歌枕」では、①「山」②「川・瀧・泉」③「海岸」④「神社・仏閣」⑤「公園」⑥「八景」⑦「個人」⑧「その他」に分類し、それぞれの項目において▽「常陸国風土記」▽「和歌」▽「俳句」▽「漢詩」▽「文章」▽「その他」の順に、昭和末年までのものを北の地域から収録した。「日立市内で本に出てこない地名はないです」
會澤さんは、図書館の本で見つけた文芸作品をコピーし分類。それをパソコンでUSBに入力し印刷所に持ち込んだ。文芸作品のゆかりの地、石碑の所在地については、日立市の許可を得て使用した地図にパソコンで地名を打ち、貼り付けた。「校正は3回行い、4カ月かかりました。大変で夢にまで見ましたよ」と苦笑い。
「がんばらないけどあきらめない」が、會澤さんのモットー。「図書館に行き、『こんなのないかなぁ』と目的をもって読んでいると楽しいです」。今後はかつての中里村の歌人で村長も務めた齊藤柚雨(勇)の全集を作ってみたいと目を輝かす。
問い合わせは Tel.090・2740・1998 |
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