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笑いと癒やしの慰問活動 茂原市・「四波秋夫」こと鬼島義昭さん |
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鬼島義昭さん |
女装と男装、変幻自在なステージが人気
茂原市のある福祉施設の昼下がり、会場は大爆笑の渦に包まれていた。その笑いを提供する人は三波春夫をもじった芸名“四波秋夫”。そのステージは左半分女装、右半分男装の姿で一人二役、変幻自在に動き回る。「まず三波春夫の物まねから入ります。物まねは三波春夫と美空ひばりの曲だけですがそれ以外の曲は私の声で歌います。一人デュエットが受けますね」と笑いと癒やしを届ける四波さん、年5〜6回慰問活動を続けている。
四波さんは茂原市茂原在住で本名は鬼島義昭さん(71)。1887(明治20)年から続く老舗企業で現在「桶市ホーム機器」を経営している。その仕事の合間を利用して慰問活動に精を出している。
鬼島さんは意外にもかつては歌を歌えなかった。家業の修業のためサラリーマンになった鬼島さんは50年前の社員旅行の記憶が今でも鮮明に残っている。バスの中で順番に歌を歌うことになったが、鬼島さんの番になったものの歌えなかった。鬼島さんだけが歌わなかったのだ。
四波秋夫の芸名で会場を沸かす鬼島さん |
「恥ずかしくて悔しくて、それ以後、3年間一宮海岸で購入したアコーディオンと教本をもとに練習と研究を重ねてどうにか歌えることになりました」と鬼島さん、猛練習の成果が実を結んだ。
もともと人前で何かをすることは嫌いではなかったといい、小学5年生の時には友達と組んで漫才をしたこともあった。
女装男装の今のスタイルが出来上がったのは25年前。男装と女装で声も使い分けて会場を沸かす。
「女装はドレス姿、イヤリング、赤い靴を履き、男装は黒い靴とスーツ。一つの洋服を左右に男装と女装に仕立て上げています。左半分を客席に見せて、反転して右半分を見せるわけです。会場ではまず男装で登場します。というのも途中から見ている人が四波さんは男性か女性かでもめることがありますので」と笑う。
慰問に行くときは化粧道具、ドレス、靴、ハイヒール、かつら、ネックレス、イヤリング、小道具を車に乗せて会場に向かう。
ミニスカートや着物姿で1時間半13曲ほど歌い飽きさせずにステージを務める |
「人の喜びは自分の喜び」
「昭和20年、30年、40年代の歌謡曲を中心に歌いますが、ちょうど慰問先の年齢構成がこの時代に青春だったこともあり、時には涙を流して喜んでもらえます。もちろん私も楽しみながらステージに立つので盛り上がります」と約1時間半、12〜13曲をさまざまな衣装で務め上げる。主に歌う曲はチャンチキおけさ、みだれ髪、悲しき口笛、東京ナイトクラブ、おひまなら来てね、憧れのハワイ航路など。
鬼島さんのもう一つの趣味は自家用機の操縦で約3500時間の操縦歴がある。毎年、伊豆の大島で忘年会を開くという鬼島さん、自家用機を操縦してステージ道具一式を乗せて大島へ行くことも多い。
「ある時、私が歌っていると、隣でも宴会をしていてそこではプロの歌手が歌っていました。少し経つと我々の部屋をのぞきにきて、しばらく私の芸を見ていると『俺よりうまい』と言われた時は驚きました」と昔を振り返る。
歌を通じて多くの人が喜んでくれることに鬼島さんも喜びを感じているといい、これからも歌い続けていきたいと語る。
問い合わせは Tel.0475・22・3621 |
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