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今年1月に47年ぶりにラトビアを訪問、7月にまた渡り現地で歌う予定。「ラトビアは人々の品位が高く、文化度も高い国です。交響楽団との演奏が楽しみです」と加藤さん |
デビューから50年、各地でコンサート
「おときさん」の愛称で親しまれている加藤登紀子さん(71)。1965(昭和40)年、東京大学在学中にアマチュアシャンソンコンクールで優勝、歌手への第一歩を踏み出した。今年、50周年を迎えた。「歌は永遠に生きているものです」と50周年記念「終わりなき歌」コンサートを各地で展開している。5月30日には松戸で開催する。「各地の特徴を出したステージを心掛けています」という。6月には空前のヒット曲「百万本のバラ」誕生の地、ラトビアの交響楽団と共演する。また50周年記念でCD、DVDも発売した。
加藤さんは21歳の時に日本アマチュア・シャンソンコンクールで「ジョナタン・エ・マリー」を歌って優勝、翌年から毎年のようにシングル、アルバムをリリースしてきた。
各年代の曲を
また10年ごとの節目に周年コンサートを開催。20周年の時には日比谷野音で土砂降りの中で歌い、30周年には羽田—函館ハイジャック事件に巻き込まれた。「40周年の時には夫・藤本(敏夫)が他界して3年、やっと新しい一歩が踏み出せたものでした」と当時を振り返る。 今回は「各年代の曲を満遍なく歌います。時間にして休憩を挟んで2時間20分くらいのステージです」。
さらに6月、バルト3国で最も歴史のあるラトビア・リエパーヤ交響楽団を招き、50周年記念「百万本のバラ」コンサートを各地で演奏する。「楽団の滞在期間が10日間でこの間に7カ所で演奏するハードなスケジュールですが楽しみです」と頬が緩む。7月にはラトビアを訪問する。
加藤さんは68年に学生運動家のリーダー・藤本敏夫さんと知り合い、恋人へと発展していく。藤本さんは68年に逮捕、拘置所へ。「『ひとり寝の子守唄』は塀の中にいる藤本を思い作詞・作曲したものでした。やや独り相撲的になりましたが…」と言う。25歳の時の「ひとり寝の子守唄」から昨年の「愛を耕すものたちよ」まで藤本さんに聴かせたくて作った歌という。
69年6月に釈放された藤本さんと8カ月ぶりに再会した時、東京・新宿の飲み屋で小さい声で歌うと、こんな寂しい歌は歌うなといって出て行ってしまったという。「『知床旅情』を歌うとこれは俺の十八番だから歌うなとよく言われました」
藤本さんへ思い
そして72年に話題になった獄中結婚を果たし、以来2002年に藤本さんが死去(享年58)するまで30年間連れ添った。81年には有機無農薬栽培追求で「鴨川自然王国」を藤本さんが設立。「鴨川に移住する時には藤本は私も一緒にと思っていたようですが、車も運転できないので東京と鴨川を行ったり来たりの生活でした」と楽しそうに述懐する。
加藤さんはこれまでに石原裕次郎の「わが人生に悔いなし」や中森明菜の「難破船」、高倉健の「時代遅れの酒場」など、数々の楽曲を提供してきた。「難破船は私が20歳の時の失恋の曲です。時代遅れの酒場は5年後にヒットしました。自分の曲のヒットもうれしいですが、提供した曲が売れるとまた違った喜びがあります」
過密な日程だが体調管理は「週1回のストレッチと、自宅にある小さなサウナに長い時間入っています。また二日酔いなどで朝がすぐれない時は、リハーサルを綿密に普段より長くして体調維持に努めるの」
母が100歳へ
プライベートでも母親が4月9日で100歳を迎え、孫が7人。「家族の存在も歌の力の原動力になります」。 このコンサートが終わると新たな10年が始まる。10年後の81歳の時を見据えて「どのような新しいことができるか楽しみです」と、60周年記念コンサートもイメージとして胸に沸き起こっている。 |
50周年記念4枚組CD「終わりなき歌」—加藤登紀子半世紀BEST全68曲収録。4500円 |
50周年記念DVD「—その胸の火を絶やさずにー加藤登紀子の半世紀」。全50曲225分。4500円 |
♪50周年記念 ─東日本大震災復興支援チャリティー
加藤登紀子「終わりなき歌」コンサート
5月30日(土)午後5時、松戸・森のホール21大ホール(JR新八柱駅徒歩15分)で。
全席指定前売り4500円、当日4900円。申し込み・問い合わせは「松戸友の会」Tel.04・7173・7626 |
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