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「篆刻は楽しい世界です」(書を前に湯浅さん) |
花見川区にアトリエを開設
書道と篆刻(てんこく)に魅せられて40数年。この3月で教員生活を終えた千葉市若葉区の湯浅昭弘(宗中)さん(63)は「時間に余裕ができたのでこれからは自分のレベルの作品を多くの人に見てもらいたい」と晴れやかな表情で話す。このほど花見川区花園にアトリエを開設し、書、篆刻、刻字の作品を展示した。「興味のある方は見学にいらしてください」と呼び掛ける。
書道との本格的な出合いは高校時代。千葉東高校では書道部に所属、その魅力にのめり込んだ。東京学芸大学でも書道を専攻した。「書道で飯を食っていくには教員しかない」と1972年、成田農業高校(現・成田西陵高校)を皮切りに教員生活に入った。
2校目の君津商業高校時代に大網白里町出身の篆刻家・石井雙石の高弟、渡辺春園氏に篆刻と刻字の教えを受けた。「その面白さを認識しました」と以来、独学で彫り続けて30年になる。
そして市原八幡高校の時に「文化祭にそれまでの篆刻の作品を展示したところ、父兄から『教えてください』との声が寄せられて教えることになりました」。
その父兄らを中心に1993(平成5)年に篆刻研究「石門印会」を設立した。「その後、転勤のたびにその地域の公民館を借りて篆刻を教えることになりました」と、いまでは市原市「八幡公民館」、美浜区の「打瀬公民館」、船橋市豊富町「北部公民館」、木更津市「鎌足公民館」、袖ヶ浦市「長浦おかのうえ図書館」の5カ所で教えている。
これらのサークル活動は月1回集まり湯浅さんが指導する。「会員には毎回テーマを出してそれに沿って刻してもらい、その批評をします。そしてまた新しいテーマで刻します」。この3月で40年の教員生活を終えた湯浅さんだが、4月から非常勤講師として月・火・水勤務している。
印材に文字を刻す |
公民館中心に5カ所で指導
「学校で書作をすることができなくなり、大作は家で書くスペースがなく、どうしたものかと思案していたところ縁あってアトリエを構えることができました」と今後は書作と篆刻三昧の生活が送れると相好を崩す。
「方寸の世界」に美を刻む篆刻だが、湯浅さんは「初めから上手にできるわけではないので、そんなに身構えることはないです。例えば年賀状の片隅に“えと”の一文字を押してもいいですし、手紙に花一輪の印を押してもいい」と1個、1個積み重ねていけば楽しい世界が広がるという。 石門印会への問い合わせは TEL.090・1464・8914 |
【篆刻とは】
いわゆる“はんこ”のこと。5種の一つの「篆書」で文字を表すことからその名がある。一般的には石に刻すことが多いが、石以外に木や竹根、金属、陶土などに、篆書以外にカタカナ、ひらがな、ローマ字、紋様などを刻すことを含めて「篆刻」といっている。つまり書体にも材質にもこだわらず、「印を刻すこと」を指す。 |
◆グループ漕書作展
10月12日(金)〜17日(水)、ギャラリー古島(JR千葉西駅徒歩1分)で。
「小品への挑戦」をテーマに行われる作品展。作品内容は漢字、かな、刻字、漢字かな交じり、篆刻とその分野も多種多様で湯浅宗中さんら還暦を過ぎた5人の作家の作品展。TEL.043・243・3313 |
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