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天然記念物「食虫植物群落」を守る 成東・東金食虫植物群落を守る会 |
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昨年の夏の観察会。ミミカキグサ(左下)とナガバノイシモチソウ(写真提供:成東・東金食虫植物群落を守る会) |
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草むしりや植物の調査、見学者の案内も
九十九里平野のほぼ中央に位置し、山武市と東金市にまたがって広がる「成東・東金食虫植物群落」。1920(大正9)年に日本で初めて天然記念物に指定された群落。この貴重な群落の保護活動に当たっているのが「成東・東金食虫植物群落を守る会(会長・岩瀬政広氏)」。「この群落には8種類の食虫植物、350種以上の植物が生育しています」というのは前会長の川辺侃(ただし)さん(69)。幹事の能勢正代さん(63)は「面積3.2ヘクタールの群落を守る会ですが、見学希望者にはガイドもします」という。
指定当初の名称は「成東町肉食植物産地」で現在の名称になったのは1978(昭和53)年。「尾瀬みたいに高原の湿地は多々ありますが、ここ九十九里平野にある海岸線に近い湿地は非常に珍しいものです。昔、この近辺は沼地で舟を使って田植えをするなどしていたようです」とかつては沼や多くの湿地が残されていたと川辺さんはいう。
食虫植物を見学に来ても小さく目立たないために気付かずに帰ってしまう人が多いために87年に有志が集まり案内活動を開始した。
しかし案内活動をしているうちに「年々貴重な植物が減少しているのに気付き、案内だけしていていいのだろうかという声が出て、この群落を守っていく活動もしていこうということで93年に『守る会』ができました」と能勢さんはその後、植物の保護を行う組織になったという。
川辺侃さん(右)と能勢正代さん |
盗掘の監視や野焼きも
「守る会」の活動は(1)群落内で生育している植物の調査(2)見学者の案内。どこに何が生育しているかを把握して植物のそばにプラカードを指して見学者が分かるような説明をする(3)貴重な植物を守るために大型外来種の抜き取り作業、草むしり(4)野焼き(5)盗掘の監視(6)花ごよみの作成―などこれ以外にさまざまな活動があるという。
「主に4、5、6月に山武市の小学3年生が学習で見学に来ます。市でも教育委員会が力を入れており、この管理のもとに私たちが協力して案内をしています。将来大きくなったら、食虫植物の群落に見学に行ったことを思い出してくれれば幸いです」と能勢さんは子どもたちの見学に期待を寄せる。
「よく花の見ごろはと聞かれますが、大まかな目安の花ごよみを作成していますが、年によって大きく異なることがあります。8月でしたらナガバノイシモチソウとミミカキグサが期待できます」と能勢さん。
「千葉県民はもとより山武市や東金市の市民がこの群落の存在を知らないケースがあります。ぜひ貴重な群落を見学に来てください」と多くの人に存在を知ってほしいと川辺さんは訴える。
見学希望者・守る会入会希望者は群落管理棟 TEL.0475・82・4871
【アクセス】JR成東駅からバスで殿台バス停下車徒歩20分。車は千葉東金有料道路・山武成東ICより約15分。 |
【食虫植物】
捕虫器官で昆虫を捕え、消化・吸収し、それを栄養の一部とする植物の総称。この栄養獲得方法を身に付けた食虫植物は湿地や池沼など栄養分の乏しいところでも育つ。
群落の8種類の食虫植物は次の通り。
◎モウセンゴケの仲間4種類(捕虫方法:粘り着け式)・モウセンゴケ・コモウセンゴケ・イシモチソウ・ナガバノイシモチソウ
◎タヌキモの仲間4種類(捕虫方法:吸い込み式)・ミミカキグサ・ムラサキミミカキグサ・ホザキノミミカキグサ・タヌキモ(復元) |
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