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右から小川さん、大木さん、佐武さん |
「古来の伝統工芸の技を後世に残したいですね。そのためには若い人に取り組んでほしいです」と話すのは成田表装倶楽部を主宰している大木憲治さん(74)。同クラブ代表の佐武博方さん(70)は「今は和室、まして床の間が住居からなくなり、掛け軸も掛けられなくなりました。そのため職人も減少しています。どなたでも構いません。表装作りにチャレンジしませんか」と参加を呼び掛ける。
書や絵画を額装に
大木さんが表装作りに取り組むきっかけは「表装がぼろぼろになった掛け軸がありまして、経師屋さんに修理をお願いしました。高いお金を支払ったのですが、出来上がった掛け軸を見て『これなら自分でもできるかなと思った』」と言う。しかし職人の世界、閉鎖的で教えてくれるところがない。そんな時に進歩的な職人が成田市の公民館で表装作りの講習会を開いた。約30年前の事だ。
当時サラリーマンだった大木さん。「表装作りにのめり込みまして、土日が来るのが待ち遠しく、夜遅くまで取り組みました」。その後、ある程度技術を身に付けて1987(昭和62)年に豊住公民館でサークルを立ち上げた。
10年前に同クラブに参加した小川一夫さん(80)は「定年になって何かしたいと思って入会しました。書道をしていましたのでそれを表装しています。センスが必要ですが、技術的には数をこなさないとね」と奥の深さを語る。
「絵手紙やはがき、書画など残しておきたい作品を額装すると立派な掛け軸になります。家族や親戚らに次々と要求されて、また褒められたりすると制作意欲がわきます。私は洋間にも合う創作表装を作る機会が多いです」と佐武さん。
大木さんは「作品に着物を着せる感覚ですので材料選びも重要です。ただ京都から和紙を取り寄せるため費用もかかりますので、はけなどの道具を自分で作る方もいます」と話す。
同クラブは毎週土曜日、豊住公民館で正午から午後5時まで活動している。月会費は2000円。
問い合わせは TEL.0476・27・0581 |
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【額装】左=拓本を表装した大木さんの作品、中央=小川さんの作品、右=妻、娘が着た着物を材料に孫の誕生時に制作した佐武さんの作品 |
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