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戦争孤児の苦しみ描く 我孫子市/市民劇団「あびこ舞台」 |
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声なき氷像」の舞台 |
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10日に柏で上演
終戦記念日の8月15日を前にして、戦争孤児の苦しみを描いた舞台「声なき氷像」が上演される。上演するのは市民劇団・我孫子市の「あびこ舞台」。代表の飯牟礼(いいむれ)一臣さん(72)は「戦争の悲惨さを伝えられればとの気持ちで演じていきたい」と意気込みを語る。
舞台「声なき氷像」
「声なき氷像」は飯牟礼さんが早稲田大学生の1960(昭和35)年に書いた「アンペラの上の氷像たち」が原作。敗戦直後の満州で見聞きし、自身が体験した悲劇を書きつづった小説だ。
1945年8月、日本は戦争に敗れた。旧満州にいた日本人開拓団は、ソ連軍と現地人の攻撃を受けて、多くの人が死んだ。命からがら逃げてきた人たちも、飢えと氷点下30度〜40度の寒さの中で次々と倒れ凍死。望郷の念むなしく死んでいった。
コチコチに凍った死体は野原に埋められ、「せめてこの子だけでも生きていてほしい」と中国人にわが子を預ける親も多くいた。
この劇の主人公、6歳の重田満子もその一人。母親はソ連軍の慰安婦に徴用されて青酸カリを飲んで自殺。兵隊にとられやっと収容所にたどり着いた父親も餓死寸前の娘を中国人に売らざるを得なくなった。
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飯牟礼一臣さん |
小学生から88歳まで
孤児となった満子は必至で父親を探し求めた。あれから60年。かつての少女も66歳、父親も生きていれば95歳になる。果たして2人は再会できるのか。
「素人ですからせりふを完全に覚えていない団員やとちったりすることがありますが、全力で取り組んできました」と意欲をみせる。
飯牟礼さんは学生時に半年間劇団にいたが思想的についていけず退団。「当時、山口崇さんや加藤剛さんらがいました」。その後、会社勤めや会社経営などを行ってきたが、なにか文化的なことをしたいと劇団を立ち上げた。
同団は92年に17人でスタート。「全員が1度も舞台に立ったことがない素人の集まりでした。大学の後輩で日本演出者協会の貝山武久さんに演技の指導を付けてもらいました。歩き方、発声など1年半かけて基礎訓練、そのかいあって94年8月に1回目の公演を行いました」
それから年に2〜3回公演して、今回で第37回となる。声なき氷像も10数回演じているが、喜劇やミュージカルなどもレパートリー。「団員は88歳から小学生3年生まで40人で月2回練習しています」
「観客の層によっては、満洲や今は見られなくなった台八車など知らない人もいて説明をしなくてはなりません」と語る。
「プロと素人の差は歴然なのに厚かましくもプロ並みの有料公演をします。お金をいただいてもはずかしくないだけの演技をしなければなりません」と気を引き締める。
市民劇団「あびこ舞台」
同団は11月23日(日)の我孫子市文化祭でも近松門左衛門の名作「女殺し油地獄」、宮沢賢治「注文の多い料理店」、平岩弓枝の朗読劇「邪魔っけ」を上演する予定。湖北地区公民館で無料。
あびこ舞台「声なき氷像」柏公演
10日(日)午後2時と5時の2回、アミュゼ柏(JR柏駅徒歩7分)で。公演時間2時間。
脚本:いいむれ一臣
演出:片倉恭子、齊藤美貴
入場料:2000円(前売り1500円)
今回の公演は柏市、我孫子市、茨城県取手市の合同後援
問い合わせ:TEL04-7188-1160 |
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