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「街の名物に」と活動 我孫子市/白樺派のカレー普及会 |
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去年のアロハフェスタin我孫子で白樺派のカレーを提供 |
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白樺派の文士が愛したカレー
隠し味にみそ使用
白樺派の文士が愛した「白樺派のカレー」を街の名物に、と活発な活動を展開しているのは我孫子市の「白樺派のカレー普及会」。「カレーを起点に食の安全、地産地消、手賀沼を中心とした地域振興、さらには文化活動の振興などで街が元気になるように活動しています」と張り切るのは会長の小野広和さん (45)。
大正時代、手賀沼沿いに白樺派の文人たちが住み、活発な創作活動を行っていた。当時としては先進的な食文化のカレーが我孫子で作られていた。カレーを作ったのは白樺派の中心人物である民芸運動家の柳宗悦(やなぎ・むねよし)の妻・兼子(かねこ)さん。当時、手賀沼沿いに住んでいた志賀直哉や武者小路実篤らに振る舞ったといわれている。
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石戸孝行さん |
再現のきっかけは雑誌「民芸」の1979(昭和54)年8月号「思い出すままに(柳兼子さん談)」の中で、陶芸家のバーナード・リーチがカレーライスにみそを入れたらとの発案で作ったところ「田舎の粒みそ入りのおいしいカレーが出来ました」との記事があった。これを目にした我孫子市役所職員の発案で再現の動きになった。
柏市の京北スーパー相談役の石戸孝行さん(70)に依頼、2001(平成13)年から取り組みを始めた。当初は「兼子カレーと呼んでいましたが、その後白樺派のカレーと改めました。白樺派を名乗るにあたって、その関係者に了解をいただきましたが、『白樺派の哲学に沿って』との一言がわたしに重くのしかかってきました」という。
石戸さんは「レシピが残っていないので、カレーの歴史から勉強しました。当時の時代背景や我孫子の様子など文献を集め、さらに宗悦さんの嗜(し)好を探り、試作を続けました」と図書館に頻繁に足を向けた。
小野広和さん |
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地産地消、地域振興へ
05年に「白樺派のカレーで町おこし企画」が持ち上がり、実行委員会が発足。会では正式に石戸さんに依頼して取り組んだ。
「基本的には店で提供する場合の条件はカレー粉にC&B純カレー、ニンジン、ジャガイモ、タマネギなどの野菜は地元産、粒みそ、牛肉、鶏肉、鴨肉、豚肉は国産の使用となっています」と小野さん、これをクリアすればあとはオリジナルを認めている。現在、我孫子市内で3店に認定書を交付して「白樺派のカレー」と会特製のランチョンマットを提供、裏面には我孫子の名所・旧跡などの説明を載せている。
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会特製のランチョンマット |
レトルト品やカレーパンも商品化のめどがたっている。「我孫子には文人たちを訪ねる散歩コースがあり、ぜひ我孫子に来て雰囲気を味わってくださ
い。その時このレトルト品が最適なお土産になります」と小野さん。
「商業的にならずに、このカレーを通じて当時きれいであったろう手賀沼に思いをはせて少しでもその時に近付ける活動をしていきたい」と石戸さんは張り切っている。
兼子さんは近代の声楽法を確立した歌手。1928年のベルリンでのリサイタルは絶賛の批評を受けた。
◎問い合わせ
事務局TEL04-7181-7770 |
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