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料理に精を出す会員 |
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1人で献立から食材 料理手順書まで指導
会員が順番で受け持つ
定年後、粗大ごみにならないために人間生活の3大要素のひとつである食の作り方を学ぼうとして、11年前に結成された君津市の「かぼちゃ会」。男性だけのこの会の特長は指導者がいないこと。「会員が順番で献立から食材の購入、調味料、料理手順書作成、料理作成の指導を考えて、他の会員に教える方法をとっています。その会員が妻に教わってもいいし、自分でマスターしてほかの会員に教えてもいいのです」と言うのは会長の栗山冨士男さん(76)。
会員は16人で平均年齢70歳。かぼちゃ会は福祉協議会主催の「おじいちゃんの料理教室」の参加者が集まって生まれた。
その時参加者が感じたのは、
(1)料理がこんなに面白いとは初めて経験した
(2)料理の奥深いのに驚いた
(3)1番だしと2番だしの取り方と使い方に納得
(4)基本切りの種類と切り方が分からなかった
(5)切り方によって味が変わることを知った
(6)調味料の入れる順番があることを知った─など。
料理教室終了後、さまざまな意見が出て「この講習会で終わるのはもったいない。もっと腕をあげて何かの役に立てよう」との声が多数占めて、かぼちゃ会が誕生した。
活動は毎月第4金曜日。午前10時から作り始める。「最近やっと予定時間通りにできるようになりました。そして会の自慢は手打ちうどんです。市のイベントなど年に4回、模擬店を出します。1回に200食を用意します。これ以外に障害者施設に呼ばれてうどんを打ちます」と言う。
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栗山富士男さん |
毎年6月は妻を招待
和食が中心だがハンバーグやぎょうざも作る。会員の多くは「まずメニューありきで、冷蔵庫の食材を利用して適切な料理がまだ作れません。作れるようになれば本物ですがね」とまだまだ経験不足と言う。
それでも食材を購入することで鮮度や値段などに詳しくなったことや旬の食材を使っての献立ができるようになったとしている。料理を作り始めて感じたのは異口同音に「妻の価値を再認識したこと」だという。
8月は暑気払い、12月は忘年会。そして6月は妻を招待して食事をする。その時に忌憚(きたん)のない意見を出してもらい次につなげることにしている。「最初のころメンバーの奥さんが一番迷惑を被ったのではないでしょうか。あるときお医者さんが入会したのですが、少したってその方の奥さんがわたしに、『なんと洗い物をしてくれるようになった』というのです。いままでいかに大変だったかということを認識したのでしょうね」
「数年前にいわれた『定年後、粗大ごみにならないための10カ条』を実践して、自立できるところはしていかないとね」と栗山さん。
自身は新日本製鉄を60歳で定年、その後5年間子会社に出向してフリーの身に。それから地域とのつながりでボランティア活動も活発に取り組んでいる。君津市ボランティア連絡協議会の会長も務めている。ボランティアをする人も受ける人もすべて平等の立場で横のつながりを大事にしていきたいという。
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