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ハマヒルガオが咲き誇っていた磯根海岸 (2000年5月) |
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「会員の8割が60歳以上です。体力・気力・経済力・思考力や記憶力では、若い人に及びませんが、経験・寛容性などでは私たちが勝っていると自負しています。それに現役時代に得た技術や知識、遊びほうけた道楽の数々 (趣味ともいいますが) 、わずかに残っている労力、有り余る暇を活用して何かすれば楽しかろうということで発足したのが『グリーンネットふっつ』です」。そう語る会長の富津市小久保の白井敏夫さん (72) 。大きな事業の柱は壊滅した磯根海岸のハマヒルガオを復元し、再びピンクの花が咲き誇る海岸にすることだと意欲を燃やす。
一丸で取り組む
富津・磯根海岸に再びピンクの花を
2000 (平成12) 年3月に発足した同会。当初の名称は「熟年ネットワーク」だったが、会員の要望で現在の名に改めた。「緑化事業だけをやっているわけではなく、昔の町の写真の収集・保存・配布、大佐和の歴史と文化を学ぶ勉強会、子ども花火大会など出来ることは何でもやります」と事務局長の平野正巳さん (71) 。
磯根海岸は00年くらいまで毎年5〜6月にハマヒルガオのピンクの花が咲き誇り、写真愛好家が頻繁に訪れた。
01年ころから雑草が繁殖、ハマヒルガオ群生地はほぼ壊滅した。雑草繁殖の原因は海岸に業者が廃棄した残土が長い年月を経て流出し,生態系を狂わせたとみている。
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ハマヒルガオ育成中の看板が立つ現在の磯根海岸 (白井さん (右) と平野さん) |
地元・大佐和文化の勉強会も
そこで同会では04〜06年、市の助成を受けてハマヒルガオ群生地復元に取り掛かった。地質調査から除草、清掃、種まき、根茎移植など06年度の作業回数は107回に上った。「9時〜12時までお茶を飲んだりおしゃべりをしたりと楽しいですよ。夏は涼しくなる午後4時から作業をします」と平野さんは話す。こうした作業が実を結びつつあり、今年の5月にはところどころにハマヒルガオの花が顔を見せ始めた。
昔のような群生地の状態によみがえるにはなお時間がかかるとしているが「みなさん、海岸一面に花が咲く日を夢見て精いっぱい頑張っています」と白井さん、同会の活動の大きな柱ができたとしている。
その合間をぬって大佐和の文化の勉強会を行っている。これまでに地元旅館・さざ波館の館主の刈込硯弥さんを囲んで「大貫に逗留した文化人」、「大佐和の遊漁と避暑客」、「島崎藤村と小久保」などをテーマに地元文化の理解を深めてきた。
さらにパソコン相談(購入や取り付け、ウインドウズの基本設定など)、子どもや高齢者を対象にしたイモ煮会など幅広い活動を行っている。
10日 (金) には富津市観光協会大佐和支部の夏祭りがある。同会も後援として盆踊り、カラオケ、花火、模擬店などに人的労力の提供をすることにしている。
「世のため人のため、といった大仰な考えは持っていません。暇な人たちがやりたくてやっているだけです。いくらかでも役に立てば幸せですし、たいして役に立たなくてもそれはそれで可なりと思っています」と富津市少年野球連盟会長も務める白井さん、これからも肩ひじを張らずにやっていきたいという。
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