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真っ赤な紙が2体の仁王像に、べたべたと張られている。阿像(写真奥)と吽(うん)像。「石造金剛力士仁王立像」が正式な名だが、「赤紙仁王」の通称が有名だ。赤紙に覆われ表情などの造形は、ほとんど分からない。北区田端の東覚寺境内にあるが道路に面し、全身から炎を出しているような姿が、ひときわ目に付く。
像の背中に銘文があり江戸時代初期の1641(寛永18)年建立と分かる。本来、門の両脇に立ち清浄な寺院を守る仁王像。だが赤紙仁王は、当時江戸に大流行していた伝染病を鎮めるため造られた。赤は悪を焼き尽くす火の色とされたためか、いつしか病気のある部分に赤紙を張って祈れば回復するという信仰が広がった。現在も訪れる人は絶えず、岩脇彰信住職は「福島からいらした方もいましたよ」と語る。
参拝者は寺務所で赤紙2枚と線香2束を200円で買うことができる。阿像と吽像の同じ部分に赤紙を張り、それぞれに線香を立てるのが習わしとか。赤紙は胸や腹、腰、ひざの辺りが特に多く、紙が何層にもなっている個所も。複数の病気を持つ人は何枚張ってもよく、追加の赤紙を求めることもできる。
仁王像の脇には、大きなわらじがたくさん掛けられている。回復した人たちの奉納で、「仁王様が病人や祈願者の所に行くのに使っていただけたら」という思いが込められているという。
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