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知らずにお参りに来た人は驚くに違いない。首から下が全く見えないと言っていいほど、全身を荒縄で巻かれたお地蔵様。葛飾区の南蔵院境内に立っている。南蔵院は南北朝時代に開山された由緒ある寺だが、盗難よけなどにご利益があるとされる「しばられ地蔵」は、寺の名以上に有名だ。
そもそも、このお地蔵様を縛ったのは、江戸時代の名奉行、大岡越前という「お話(大岡政談)」がある。大岡は反物泥棒を見逃した「ふとどき者」として、このお地蔵様に縄をかけ奉行所に連行。江戸中が大騒ぎになったのを巧みに利用し、見物人にまぎれていた大盗賊団を見抜いたとか。大岡はお地蔵様の霊験に感謝し、立派なお堂を建て、盛大な縄解き供養を行ったと語られている。
この話が江戸っ子の間に広がり、願をかける人は「しばられ地蔵」を縛り、願いがかなったら縄を解くという風習が広がった。今では盗難よけのほか、厄よけ、縁結び、学業成就など、庶民のさまざまな願いをかなえてくれるお地蔵様として、訪れる人の姿が絶えない。南蔵院では参詣者のため「願かけ縄」を用意しており、写真の男性は「首が悪いから…」と、地蔵の首に縄を巻いていた。お寺は、毎年大みそかに縄解き供養を執り行っている。境内には商売繁盛の聖徳太子堂、突けば幸運が開けるという開運の鐘などもある。
JR常磐線金町駅からバス。 |
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