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全身真っ白。見るからに「美白」のご利益がありそうなお地蔵様だ。港区の玉鳳寺(ぎょくほうじ)にある「おしろい地蔵」。紫外線が強い時季のためか、若い女性の参拝が目立つ。
おしろい地蔵の正しい名称は「御化粧延命地蔵」。寺伝によると、江戸時代初期の寛永年間、当時の和尚が荒地に放置されていたお地蔵様を見つけた。泥などを落とした後、白粉(おしろい)を塗り、壊れた部分を繕って見ると、実に堂々とした美しい地蔵坐像に。「ありがたい」と、お堂を建て祭ったところ、長年、和尚の顔にあった痣(あざ)が不思議なことに消えたという。その評判は天下に広まり、庶民の参拝が絶えることなく、現在に至っている。
参拝の際は、自分が患っているところと同じ部分に白粉を塗ると、霊験あらたかとか。願望成就の折は全身に白粉を塗るともいわれているだけに、お地蔵様はいつも真っ白だ。脇には、ベーキングパウダーの缶が置いてある。参拝の人たちが置いていったものとか。「たくさんお預かりしています」と、お寺の女性は笑顔を見せた。
お地蔵さまの唇とつめには紅も塗られており、いつしか病気平癒以上に「美肌」のご利益が有名になった。堂内のノートには「美白命」といった文言もある。もっとも健康や長寿を願った文も多く、参拝者の年代は幅広い。
地下鉄白金高輪駅徒歩5分。 |
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