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「楽しくなければ吹矢じゃない」がモットーの「ダーツ1010」での練習風景。「会員の男女比は半々。男性の参加が多いのもスポーツ吹矢の特徴です」と横田さん |
誰でも手軽に楽しみながら健康に—。腹式呼吸を基本にした「スポーツ吹矢」が生涯スポーツとしてシニアに人気だ。(社)日本スポーツ吹矢協会(会長:青柳清、最高顧問:日野原重明)常務理事で、足立区で長くスポーツ吹矢の普及に努める横田博文さん(69)にスポーツ吹矢の魅力を聞いた。
「スコン」「バシッ」…。息を使って、5〜10m先の円形の的をめがけて放った矢が心地よい音を立てる。横田さんが指導するダーツ1010支部(本家北千住)の一コマだ。長さ120cmの筒を使い、競技会では1ラウンド5本の矢を吹き、点数を競う。矢は重さ約1gと軽量ながら、ひと吹きすると時速100km以上のスピードにも。的の中心をとらえた時の爽快感は格別だ。周囲の参加者からも笑みがこぼれる。
スポーツ吹矢は、健康を目的に1998年に日本で生まれた新しいスポーツ。高い運動能力や腕力は不要で、「呼吸ができれば矢は的に届きます」と横田さん。「魅力は、個人競技なので自分のペースでできること。また腹式呼吸なので健康にもよく、的当てのゲーム感覚でストレス解消にもなります。長く続けられるポイントが多いので、定年後のスポーツとして最適です」
横田博文さん |
介護予防にも
横田さんがスポーツ吹矢と出合ったのは定年前の58歳の時。誕生間もない新種目に目を付け、足立区を中心に普及に努めてきた。
競技者は5歳から90代までと幅広く、全国に同協会会員は2万3000人(2010年末時点)。「車いすの人でも、障害がある人でもできる」と横田さん。最近では小中学生や仕事帰りの会社員など若い世代の競技者も増え、3世代での交流に。介護予防運動やリハビリの一環としても活用されている。
腰痛や高血圧の予防、脳の老化防止、心を落ち着かせてストレス解消…。腹式呼吸をベースにしたスポーツ吹矢式呼吸法には集中力と精神力を高める効用も。横田さん自身、「血流がよくなって肩凝りが改善し、高血圧の予防になっている」と話す。「定年後、1500人の人に出会う」というセカンドライフの目標も達成した。
横田さんが古希を迎えることし5月、「ダーツ1010」も誕生から丸10年に。「定年後楽しくできるように」と自身のために始めたが、指導員として教えているうちに「他の人にも広めたい」とスポーツ吹矢のとりこになった。「個人競技だからこそ打ち込めるし、それ以外の時間でのおしゃべりも楽しみ。仲間づくりにも最適です」
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