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テアトルアカデミーエイジレス部門のレッスン。睦さん(左端)のユーモアを交えた指導に、レッスン生から笑い声がおこる=新宿区の専用スタジオ |
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俳優デビューを果たすシニア層が増えている。“新人”の多くは、もともと演技の経験がない素人。しかし、タレント養成所などでレッスンを重ね、実力とプロ意識を高めている。テレビ番組やCMで、シニアタレントの需要が高まっているだけに「若い時からの夢がかなった」と言う人も。豊かな人生経験で培った「今の個性」が、演技に生きているようだ。
「篤姫」に出演
エイジレス部門専用スタジオに響く張りのある声―。タレント養成所・芸能プロダクション「(株)テアトルアカデミー」(新宿区)のレッスン風景だ。演技力を評価された14人の選抜クラスも、朗読による発声練習を欠かさない。同クラスの保谷和明さん(62)=渋谷区=は、NHK大河ドラマ「篤姫」などに加え、CMにも出演しているが、旅行会社を定年退職した2006年1月までは「ずぶの素人でした」。退職直後の入校時は「テレビに出られるとは思っていなかった」と笑う。
同社が40歳以上のエイジレス部門を立ち上げたのは05年11月。現在のレッスン生は80代を含む約450人に上る。毎週の必修レッスンと、時代劇所作や歌唱の選択レッスン。一定のレベルに達した人は仕事の紹介を受けられる上、卒業後は全員プロダクションと契約できる。広報部チーフの浅井武士さん(33)は「シニア向け番組やCMが増え、シニアタレントの活躍の場は広がっています」と話す。
経験が“個性”に
演技の高みを目指しレッスンに通い続ける“卒業生”も保谷さんをはじめ少なくない。講師を務める俳優の睦五朗さん(74)は「若い人を上回る熱意。(俳優として)成功率も高い」と言う。年を重ねてからプロになった人たちの特徴を「それぞれの方の経験、豊かな人間性が、俳優の個性として生きています」と目を細める。
例えば白髪で柔和な表情の保谷さんは、神父が“当たり役”。保谷さんと同期の徐(そう)頼子さん(55)=多摩市=は、保育園勤務と家事を両立させていたためか、教師や主婦役が多い。保谷さんと徐さんは今も同じ選抜クラスとあって「互いの存在が刺激になっている」。厳しさの中にも温かみがある指導を受け「プロとしての自覚も育ってきた」と口をそろえる。2人の目標は視聴者から見て「顔と名前が一致するくらい有名になること」。
一方、「ぼけ防止」のため入校したが、演技のとりこになり、俳優を“第二の天職”にした人もいるという。
テアトルアカデミー
TEL:03-5983-3711 |
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