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レッスンに励む増田さん(手前)と指導に当たる伯耆田さん。「長いお付き合いですっかり仲良し」=宮地楽器ミュージックジョイ新宿 |
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お気に入りの曲を弾いてみたい―。そんな願いから音楽教室に通う中高年が増えている。数ある楽器の中でも一番人気は、やはりピアノ。クラシックやポピュラー、ジャズ―。“あの名曲”を奏でる快感のとりこになる人が多いという。騒音の心配のないピアノが普及してきた今、自宅で演奏を楽しむ人も増えているようだ。
「レッスンの日が待ち遠しい」。国分寺市に住む増田啓子さん(63)は週1回、往復約2時間をかけ「宮路楽器ミュージックジョイ新宿」に通う。エレクトーンを合わせるとレッスン歴は10年以上。若いころの演奏経験はほとんどないが、ここ数年は相当な難曲にも挑んでいる。
大好きな曲を練習
今はピアニスト・加羽沢美濃作曲「やさしい風」などの特訓中。「小さい音でも“こわごわ”と弾かないで」と声を掛けるのは講師の伯耆田ひろみさん(44)だ。増田さんはその指導を受けるためわざわざ足を延ばしているとあって、真剣なやり取りの中にも笑顔が絶えない。「簡単な曲からというより、できるだけ弾きたい曲をレッスンしてもらう」というのが伯耆田さん流。伯耆田さんは「単調な練習では長続きしない。『難しいそう』と感じても大好きな曲が弾けるようになると皆さん、音楽の楽しさに“はまる”ようです」と話す。
音楽通し友人も
「弾きたいときが適齢期」。宮路楽器(本社・千代田区)は「ミュージックジョイ」など、大人向けの音楽教室を各地に展開する。ミュージックジョイ課長の高橋富美さん(43)は「楽譜の読めなかった方、数十年ぶりに鍵盤に接する方、いろんな方が楽しく学んでいらっしゃいます」と笑みを見せる。ピアノのほか、バイオリンやギターなど多彩なコースをそろえたミュージックジョイの生徒は6教室合わせ約5300人。ほぼ半数が50歳以上だ。受講者同士の交流や発表の場もあり、増田さんは「音楽で出会った友人と話している時は本当に楽しい」。ドラムなどの楽器に比べピアノは女性の割合が高いが、仕事の後や退職後の趣味として教室に通う男性も少なくない。
さて自宅でのピアノといえば近所への気配りが必要だが、近年は消音装置の取り付けや消音ピアノの購入が増加している。場所をとらない電子ピアノは7、8万円からの品ぞろえ。「音質と値段のバランスからか、10万円台後半の商品の人気が高いようです」と高橋さんは話している。
宮地楽器は、さまざまな楽器の無料体験を受け付けている。
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