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西洋絵画を読み解くカギに ギリシャ神話のアトリビュート |
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ギリシャ神とアトリビュート(部分、カッコ内はアトリビュート。アトリビュートは複数あり、その一例)左から、ヘルメス(翼の付いたサンダル)、ディオニソス(ブドウ)、デメテル(穀物)、アレス(武具)、ヘラ(クジャク)、ゼウス(ワシ) ※背後の翼の女性はイメージ画像 |
《イラスト》多田夏雄(文星芸術大学教授) |
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ギリシャ神話は西洋の絵画に多くの画題を与えてきました。私たちがそれらの絵を鑑賞するとき、神話の知識なくして深く理解することはできません。鑑賞に際してはまず、絵画の画面の中で中心になる神様(女神)は誰かを特定しましょう。その判断の材料となるのが、神様の姿のすぐ近くに描かれる付属物、美術史学でいうところの「アトリビュート」です。
例えばワシがそば近くにいたら、オリュンポス十二神の筆頭、大神ゼウスだと分かります。そのお妃(きさき)のヘラ女神のそばには羽を広げた美しいクジャクが、アフロディテ(英名ビーナス)の近くには愛の象徴エロス(英名キューピッド)が羽を付けたかわいらしい幼子の姿で中空に浮かんでいます。
神様を特定したら、次にそれぞれ特徴的な性格と行動パターンに注目しましょう。例えば好色なゼウスは絵の中で美しい女性をしきりに誘惑しています。またヘラ女神は浮気者の夫のゼウスにではなく、誘惑された女性とその生まれた子どもに怒りの矛先を向けるのです。
絵画の中には登場人物たちが描かれた当時の衣装をまとっている場合もあり、一見して神話をモチーフとしたものとは分かりづらいものもあります。しかし、絵の中にアトリビュートを確認できれば、絵の意味や寓話(ぐうわ)がすとんと読み取れるのです。
想像力豊かなギリシャ神話の世界を絵画とともに楽しみたいものです。
《文星芸術大学教授・田中久美子》 |
◆講演会「ギリシャ神話のロマンに満ちた世界をあなたに」 ◆
29日(木)午後2時、豊島区イケビズ(JR池袋駅徒歩7分)第一会議室で。
古代ローマの詩人オウィディウスの名著「変身物語」は、ギリシャ・ローマ神話の一大集成だ。ゲストに文星芸術大学教授の田中久美子氏を招き、同書に描かれたさまざまな神話をモチーフとした西洋美術作品をスクリーン上に映しながら、分かりやすく解説する。後半はゲストを交えたお茶会も。
参加費2000円(お茶代込み)。問い合わせはアストライアの会・松原 Tel.049・258・3218 |
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