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物語や漢字に…昔から日本人になじみの植物 竹の植生と文化 |
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竹ははるかな昔から人々の日常の中にありました。平安時代に成立したといわれる「竹取物語」には冒頭、「今は昔、竹取のおきなといふ者ありけり。野山にまじりて竹を取りつつ、よろづのことに使ひけり」とあります。このころにはすでに、それがなりわいとして成り立つほど需要があったと考えられますね。
竹の成長は極端に早いです。地上に芽を出してからわずか4カ月ほどで約20メートルの高さに達し、成長はそこで止まります。開花は約60年〜120年に一度だけ。そして開花した翌年には全山の竹が一斉に枯死するともいわれています。
また花が咲いた後、確率は低いですが実も付けます。ただし、記録を見る限りでは、同じイネ科でも竹の実はとてもあくが強く、食用には向かないようです。ですが、竹の縦に割れる性質を生かしてうちわ、扇子、熊手のほかたくさんの生活の道具が作られてきました。
ちなみに「竹」という字は真っすぐに生えた竹の節から小枝が生えている様を表しているもの(写真参照)。竹冠がついている漢字は笠、籠、筏(いかだ)、筒、箱、笛、笹(ささ)、節、箔(はく)、笑、第、符などゆうに100個を超えます。それらは竹が人々の暮らしの中で生きてきたことの証左といえるでしょう。
漢字のほか竹にまつわるさまざまなものを例に見てきましたが、かくして植物たちは人間の暮らしと文化の隅々にわたって一緒に生きてきたことが分かります。
《日本自然保護協会自然観察指導員 小原芳郎》 |
◆ 植物の暮らしズームアップ ◆
12月8日(水)午後2時、としま区民センター(JR池袋駅徒歩7分)会議室401で。
あまりに身近で普段は気にも留めない植物の「暮らし」。しかし一木一草といえどもそれぞれ命があり、定められた場所で育ち、花を咲かせ、子孫を残し、四季を過ごしている。当日は日本自然保護協会自然観察指導員・小原芳郎氏をゲストに迎え、植物の驚異の世界をのぞいてみる。後半はゲストを交えたお茶会も。
参加費2000円(お茶代込み)。問い合わせはアストライアの会・松原 Tel.049・258・3218 |
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