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  ものしりミニ講座 平成29年3月下旬号  
資料の潜在的魅力引き出す  博物館とデジタル技術

歴史資料自在閲覧システムで拡大した江戸図屏風
(国立歴史民俗博物館蔵)
 国立歴史民俗博物館(歴博)には、たくさんの歴史資料があります。ふだんは収蔵庫で大切に保管されていて、調査や研究が進められる一方、展示によって来館者の皆さまに見ていただきます。ほかの博物館や美術館の展示のために貸し出すこともあります。博物館における仕事の多くは、資料を抜きには考えられません。

 一方で、コンピューターとインターネットの技術が著しく進歩し、電車の中でスマートフォンを使ってオンデマンドの動画を見ることが当たり前の時代になりました。このようなデジタル技術を博物館にどう生かしていくのかは、私たちの大きな課題です。

 デジタル技術を使うと、資料を大きく・明るく・見やすく表示することができます。複数の資料を並べて比べることも得意です。さらに、すでに失われてしまったものの復元にも威力を発揮します。

 歴博では、普段はなかなか気が付かない歴史資料のさまざまな見方をご紹介し、より多角的に歴史資料を楽しんでいただくために、積極的にデジタル技術を利用してきました。その代表ともいえるのが、歴史資料自在閲覧システムと呼んでいる、資料画像を自由にみられるシステムです。2000年に開発してから17年たった現在も、小刻みに改良を続けながら、現役で常設展示・企画展示で活躍しています。屏風(びょうぶ)や絵巻などの日本の絵画資料は、大型でかつ細密に描かれているものが多く、このような自由拡大の仕掛けが非常に有効です。歴史資料に秘められた潜在的な魅力を引き出すための技術の適用が一番の勘所だと考えます。

《国立歴史民俗博物館 教授 鈴木卓治》

5月7日まで企画展示
 5月7日(日)まで、国立歴史民俗博物館(千葉県佐倉市、京成線京成佐倉駅徒歩15分)で企画展示「デジタルで楽しむ歴史資料」が開催中。一般830円。Tel.043・486・0123

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