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新たに発見された大久保利通(右)の写真。同館の企画展で展示される=国立歴史民俗博物館蔵 |
大久保利通の写真というと、岩倉使節団に参加した際に欧米の写真館で撮影された洋服姿や、その後の大礼服姿がよく知られています。また、1868(明治元)年ごろに写された和服姿も存在します。しかし、今回新たに発見された名刺判の写真は、1871(明治4)年5月6日に撮影されたと思われる、洋服に帯刀という和洋折衷スタイルの大久保です。カンカン帽のような帽子姿がとても印象的です。
この時、参議だった大久保は5月3日に東京をたち、5日に大阪着、8日には同地を発し山口藩へ向かい、木戸孝允らと会見、26日には横浜に帰着しました。大久保来訪の結果、山口藩は東京への出兵を決め、鹿児島・山口・高知の三藩兵で構成される親兵が増強され、7月の廃藩置県に向けて中央政府による集権化の動きが加速することとなりました。
この写真は、その出張の途次、大阪の写真館で撮られたと考えられます。被写体が誰であるのかは何も記されていないのですが、その顔つきや足が長く身長が高そうな点から、右側の人物が大久保であると判断できます。大久保の身長は180センチ近くありました。左側の人物は、他の写真と比べてみると、薩摩藩士出身で当時は堺県知事だった税所篤であるとわかります。また、大久保の日記(明治四年五月六日条)に「今日税所子同行写真所等江参」とあるほか、写真の台紙裏面に「浪花□□通吉村霞月軒謹写」という写真館のスタンプが押されていることもその裏付けとなります。
この写真は大久保の子孫宅に伝来し、今年、国立歴史民俗博物館に寄贈されたものです。
《国立歴史民俗博物館 樋口雄彦》 |
◆大久保利通とその時代◆
6日(火)〜12月6日(日)、国立歴史民俗博物館(千葉県佐倉市、京成線京成佐倉駅徒歩15分)で企画展示「大久保利通とその時代」を開催。大久保の写真や遺品など初公開資料を含む約240点(実物)を展示する。一般830円。
問い合わせは同館 Tel.043・486・0123
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