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火縄銃の銃身の図。
上がうどん張、下が巻張(中嶋流炮術管窺録) |
火縄銃(射撃鉄砲10匁) 国立歴史民俗博物館所蔵
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歴史好きに人気の戦国時代。今回は、戦国時代に大きな影響を与えた火縄銃について少しマニアックに紹介したいと思います。
火縄銃は、戦国時代に日本へ伝来し、戦の流れを決める重要な役割を果たしました。戦がなくなった江戸時代には、射撃訓練や競技などに使われるようになり、流派によって多少の違いはあるものの、その基本的な形や作り方は、ほぼ同じものが受け継がれました。
火縄銃は鉄の銃身と、それをはめ込む木の台からできています。銃身は、円形や八角形の細長い鉄棒の中心に、弾を発射するための穴が通っています。江戸時代の砲術伝書などによると、銃身のこのような形は、心棒のまわりに細長い鉄の板を巻きつける方法で作られていたようです。
巻きつけ方には、細長い鉄板を、心棒を挟み込むようにして縦に丸める「うどん張(ばり)」と、リボン状に斜めに巻き付けていく「巻張(まきばり)」(葛巻=かずらまき)の2種類がありました。
現在残っている火縄銃の銃身を肉眼で見ても、どちらの方法で作られたものか、なかなか見分けがつきません。しかし、電子顕微鏡などを使って銃身の表面を拡大すると、鉄の中に含まれている不純物の方向などから、両者を識別することができます。いずれも、素材となる鉄の板を打ち延ばした向きに不純物が延びているので、うどん張では銃身の長手方向に、巻張では銃身の長手に対して斜めの方向に、不純物の流れがみられることが分かります。
《国立歴史民俗博物館・齋藤努》 |
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