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復元製作された扁平鈕式銅鐸(上)と 中広型銅矛(左)(国立歴史民俗博物館所蔵) |
世の中にはいろいろな金属がありますが、アルミニウムや鉄、銀などを思い浮かべていただければ分かる通り、そのほとんどは灰白色で、はっきりとした色がついていません。数少ない有色の金属としては、金と銅が知られています。
それらのうち、銅は比較的たくさん手に入れることができたので、祭祀(さいし)具のほかに、さまざまな道具などにも使われました。しかし、銅はそのままでは軟らかいため、曲げたりのばしたりする加工は容易なものの、武器など硬さが必要なものには向いていません。また地味な茶色なので光をきれいに反射しません。この性質を改善するために、スズを混ぜて合金にする方法がとられるようになりました。こうしてできたのが青銅であり、またそれを原料に使った青銅器です。
中国の周の時代に書かれた「周礼考工記(しゅらいこうこうき)」には、いろいろな用途の道具を作る時に混ぜるスズの割合が記述されています。スズの量が増えるにしたがって、青銅は低い温度で溶けるようになり、また湯流れがよくなる(溶けた時の液体の流動性が高くなる)ので、細かい模様をもつ青銅器の鋳造が容易にできるようになりました。また、できあがった製品は、スズが多いほど硬くなり、色も茶色→赤銅色→黄金色→黄白色→白銀色と変化していきます。
いま私たちが博物館などで目にする青銅器はくすんだ青緑色をしていますが、あれは表面に生じた錆(さび)の色を見ているにすぎません。写真は、製造された当時のものを復元した銅鐸(どうたく)と銅矛のレプリカです。いずれも金属光沢のある黄金色に輝いています。
《国立歴史民俗博物館・齋藤努》 |
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