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縄文時代の漆製品=国立歴史民俗博物館
(TEL043・486・0123)・総合展示
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9000年前の漆製品出土
今回は、安価なプラスチック製品の出現によって片隅に追いやられてしまった漆の復権を考えてみましょう。日本の漆には、長い長い伝統があるからです。
日本の漆の歴史は、一般的には今から1300年前、奈良時代にまでさかのぼることができます。確かに奈良・東大寺の正倉院には、今でもまねのできない立派な漆製品が数多く残されています。しかしながら、それよりもはるか昔、驚くべきことに9000年前の漆製品が北海道で見つかっているのです。これは縄文時代でも早いころになりますが、それ以降、縄文時代の終わりに至るまで、たくさんの漆製品が出土しています。
これらの漆製品を調べることで、縄文時代の人々の生活や文化、縄文時代の歴史を知ることができます。漆の技術、漆の文化が複雑で高度な内容を持っているが故に、そこに縄文人の美意識、情念、知と技術の体系が現れてくるのです。
意外に思われるかもしれませんが、関東地方は縄文漆の宝庫です。東京都下でもいくつもの遺跡を挙げることができます。なかでも東村山市の下宅部(しもやけべ)遺跡は、注目されます。なぜなら、各種の漆資料に加えて、「漆掻き」の傷跡を残した縄文時代の漆の木が日本で初めて見つかったのです。
国立歴史民俗博物館では、縄文時代の漆製品を複製するなどして、縄文時代の歴史を語らせています。興味のある人はぜひ一見を。 |
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