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「青汁」作りに情熱 (株)ベルファーム社長・鈴木靜夫さん |
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鈴木靜夫さん |
「野菜類などの摂取量が減少し、特に20代〜40代が少ない」(厚生労働省「平成23年国民健康・栄養調査結果の概要」)と指摘される現代人の食生活。「野菜不足には青汁を飲むのが効果的」と勧めるのは茨城県で農業生産法人(株)ベルファーム(茨城県つくば市)を営む鈴木靜夫さん(68)だ。21年前に材料となるケール栽培を始めた鈴木さんが作る青汁は栄養価(天然のビタミンCなど)が非常に高いといわれる。その理由は、無農薬・無添加・生搾りで一貫生産するという鈴木さんの青汁作りへのこだわりにあった。
つくば市牛久沼の近くに広がる耕作面積15ヘクタールの土地。ここが鈴木さんの栽培するケール畑だ。この畑で農薬や化学肥料を一切使わずにケールを年間150トン栽培している。
ケールとは、キャベツと同一種とされる一年草。大きく育ったケールの葉を下の方から一枚一枚丁寧に摘んでいけば、1本の苗から100枚くらいの葉がとれるという。
栄養素を残す
朝採りしたケールの葉はすぐに同社が開発した搾汁機(特許出願中)で液体にする。この加工時に天然のビタミンCを壊さないことがポイントになる。
ケールの葉100グラムには123ミリグラムの天然のビタミンCが含まれている。日本食品分析センターによると、これを電動ジューサーで搾ると19ミリグラムしかビタミンCが残らず、その破壊率は85%にもなった。ところが同社の搾汁機で搾った青汁には118ミリグラムのビタミンCが含まれており、わずか4%しか破壊されていなかったという。「天然のビタミンCは酸素や熱などにすごく弱く、これを残すのはとても難しい。それが95%以上も残っていると分かり、勇気づけられました」と鈴木さん。ケールのジュースは、1袋ずつ冷凍パックにし出荷される。
「健康な生活を送るには1日350グラム以上の野菜を摂取することが望ましいといわれます。しかし、それだけの量を毎日食べるのは難しく、現代人は慢性的な野菜不足になりやすい。そのため、青汁作りに取り組んだのです」と鈴木さんは言う。青汁には、天然のビタミンCの他にβ—カロテン、ビタミンB1などが豊富だ。
大きく育ったケール |
入院が転機に
34年前に(有)テクニカルヘルスサービス(板橋区)を設立し、家庭用手動ジューサーを3年間で10万台販売したという鈴木さん。バブル経済が終わるころ体の不調を感じ、大阪の甲田医院を訪ねた。当時、体重84キロ、ウエスト98センチだった鈴木さんは、長年の不摂生からほとんどの内臓機能が低下していた。入院中、食事は玄米、豆腐、青汁に限られ1カ月たつころには体重が70キロに減ったという。
体重が減るにつれて健康を取り戻し、退院することになった鈴木さん。その際に甲田医師から、「君も病気して健康のありがたさが分かっただろうから、青汁を作って社会に貢献しなさい」と言われ、背広を脱いでケール栽培から青汁まで一貫生産することを決意する。そこで農家へ出向いて栽培方法を学び、つくば市に住む親戚から土地を借りて89年に「自家農園ベルファーム」と名付けてケールの栽培を始めた。そして94年にはジュース化に成功した。
最近では青汁の他にニンジンやメロンなど品種も増やし、現在の年商は約1億5000万円。販売の内訳はOEM(相手先ブランド名製造)35%、通販雑誌20%、小売店15%、直販30%の比率となっている。「今後は、われわれの青汁生産一貫体制をビジネスモデルとして北海道や九州などにも広めていければ」と鈴木さん。
問い合わせは(株)ベルファーム フリーダイヤル 0120・361・366 |
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