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「シニアの体力」に照準 スポーツクラブが新プログラム |
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インストラクターが各人の状態を見ながら細かくアドバイス(コナミスポーツクラブ船橋内「OyZ」で) |
最近、大手スポーツクラブで60歳以上を対象にした運動スクール開設やプログラムを導入する動きが増加している。骨や関節、筋肉など体を支えたり動かしたりする運動器の機能低下を予防するトレーニングの必要性が、医学界などから注目されているためだ。シニアは加齢などで筋力が衰え関節の可動域が狭くなるなどが原因で、転んでけがをする可能性が大きくなる。そうした事故を予防するには、シニアになっても体幹や脚力を強化することが有効な手段。ただ、各人の体の状態に合わせてトレーニングすることが必要だ。
シニア向け運動スクール「OyZ(オイズ)」を昨年10月からスタートしたコナミスポーツクラブ。同スクール4施設の参加者を対象にしたアンケートでは、大半の参加者が「階段の上り下りや身体の動きがスムーズになった」「新しいことに取り組む意欲が出てきた」と回答。このほか、「つえがいらなくなった」「腰や膝の調子がいい」「食事が進み、睡眠もよくとれるようになった」などの声もあり、好評だという。
そのうちの1つ、コナミスポーツクラブ船橋内の「OyZ」では、午前10時半〜正午までの90分間、約40人のシニアがインストラクターの指導に合わせてボールやチューブなどを使った基本エクササイズや体幹強化メニューを楽しそうに行っていた。月会費は週1回コース6825円、週2回コース9975円。
寝たきりの原因
厚生労働省の国民生活基礎調査(平成22年版)によると、寝たきりになる原因で多いのが脳卒中(24.1%)や骨折・転倒・関節疾患(16.7%)。脳卒中を除くと足や膝、腰の関節や下肢に問題を抱えることが寝たきりの原因として多い。
関節や下肢の機能が衰えると歩いたり、座ったり、または食べたりといった生活行動が難しくなる。さらに、骨粗しょう症やそれによる骨折、転倒、あるいは交通事故なども元をたどると筋肉が減り、体が衰えたことが大きな要因として挙げられている。
高齢になってからも筋力トレーニングをすることで、転倒事故などをある程度防ぐことが可能だ。
大きい個人差
しかし、一方では「特にシニアを運動させる場合、その人の身体状況を考慮した指導が大切」という見方もある。早稲田大学スポーツ科学学術院非常勤講師で、日ごろ高齢者への運動指導をしている矢野史也氏(61)は、「確かに、運動することで高齢者の体力は向上する。ただ、気を付けなくてはいけないのは筋肉や関節など運動器の状態には個人差が大きく、それを考慮したプログラムが必要」と指摘する。
コナミスポーツクラブでは理学療法士国家試験委員だった遠藤敏氏(58)を8年前に招くとともに、理学療法士、看護師、健康運動指導士などの専門家が監修したプログラムを実施。同時に、スクール現場でシニアを指導するインストラクターの教育に力を入れている。
運動器の機能が低下し、要介護や寝たきりになる可能性が高い状態のことをロコモティブシンドロームといい、そうならないために最近、注目されているのが予防のためのトレーニングだ。
そんな時代のニーズからシニア向け運動スクール「OyZ」を順次増やしているコナミは、約50施設を目標にしているという。
コナミ以外でもシニア向けプログラムを実施しているスポーツクラブが増えており、今後ますます、こうした動きは拡大してくると予想される。
「OyZ」の問い合わせはコナミスポーツクラブフリーダイヤル0120・919・573 |
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