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70歳を過ぎると自動車免許更新の際に「高齢者講習受講証明書」が必要になる。しかし高齢者の増加に伴い、受講希望者に対する自動車教習所の受け入れ能力不足が顕著になってきている。都内では問い合わせてから受講できるまでの期間が3カ月待ちなど、すぐに受講できないことが多くなっているという。
免許更新時に高齢者講習受講証明書が必要になったのは14年前から。当初は75歳以上が対象だったが、その後対象年齢を70歳以上に引き下げている。
高齢者講習は座学と実技で所要時間は3時間。現在、都内47カ所の自動車教習所で行われている。座学は20分〜25分程度。高齢者をモデルに、視力低下や体の反応が鈍化したことが原因で事故が多くなることを再現したビデオを見たり、高齢者講習制度導入から現在までの流れを学んだりする。また、実技では動体視力やブレーキなどのペダルの踏み替えの反射神経能力、暗い所から明るい場所に変わった時にどれだけ対応できるかを見る、明(めい)順応を調べたりする。
「この高齢者講習はテストではなく、あくまで自分の運転に対する適性を理解してもらうために行うものです」と、大手教習所の(株)コヤマドライビングスクール(本社・渋谷区、TEL.03・5459・8811)経営企画室長の田口治さん(50)は話す。75歳以上は講習予備検査も行う。
標準規模の一般的な自動車教習所では、新たに免許を取得する人のための教習がメーンで、時間をやりくりしながら高齢者講習を行っているのが実態。高齢者人口が増加しているためか最近では、高齢者講習受講を希望してもすぐに受けることができずに3カ月〜4カ月待つことになるケースも起きているという。
専用校舎を整備
ただ、コヤマドライビングスクールでは、横浜・綱島校に高齢者講習専用校舎を設けるなど需要増に対応しているため、「1カ月以内で講習を受けられる」(田口さん)。
年齢による運動機能などの衰えを認識し始めても、身分証明書として運転免許証を更新してきた人も多い。
運転免許証を返納すると代わりに運転経歴証明書がもらえる。しかし、昨年まで住所変更の届け出が義務づけられていなかった運転経歴証明書は銀行口座を開設したりする際の「公的な身分証明書として交付後6カ月間に限られ、生涯使用できなかった」(都内の運転試験場)。そのため免許証を返納し運転経歴証明証を申請する人は少なかった。改善を求める声が高まったことで今年4月から住所変更の届け出により生涯有効の公的な身分証明書として運転免許証と同じ効力に変更されたという。ただ一部の金融機関では公的な身分証明書として認めていないところもあり、注意が必要。
なお、高齢者講習の案内は運転免許有効期限の約半年前に自宅に届く。初めて高齢者講習を受ける際には、事前に受講したい教習所に所要時間や講習内容などについて問い合わせたほうが安心だ。
高齢者講習の問い合わせは警視庁運転免許本部 TEL.042・362・3591 |
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