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宝飾品リサイクルに“熱視線” “たんす在庫”60兆円 |
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アイデクトは横浜で行われたシニア向けイベントにブースを出店した |
日本の消費者が保有する宝飾品は約60兆円(矢野経済研究所=YRI、2009年)と推定されている。この“たんす在庫”をめぐって参入が相次ぎ、リサイクル市場が急拡大している。各家庭で眠ったままになっているジュエリーなどの宝飾品を活用しないのは、もったいない。一度、自宅の中を探してみる価値がありそうだ。
バブル期をピークに規模の縮小が続いてきた宝飾品小売市場。10年の同市場は前年比1.9%減の9104億円となった(YRI)。一方で、市場拡大が続いているのが、宝飾品リサイクル市場。現在3〜4000億円規模と見られている。
消費者がこれまで購入してきた宝飾品を再び楽しめるようにリペア(修理)やリフォーム(仕立て直し)、または業者に売って換金するのが宝飾品リサイクル(還流)。同マーケットで急成長を続けているのが、(株)アイデクト(本社・港区、フリーダイヤル0120・777・679)だ。「5人に1人の女性はジュエリーが大好きで、1人平均40個以上保有していると見られています」と話すのは同社社長の藤野匡生さん(47)。
日本全体では「約8億個ある」(藤野さん)といわれる家庭に在庫されている宝飾品。これまでリサイクル市場が整っていなかったこともあり、デザインが流行遅れなどで使われなくなったジュエリーは、家庭のたんすなどに眠ったままになるケースがほとんどだった。「一般に、ジュエリーの保有数は亡くなる頃が一番多い。女性の死亡者数は年間50万〜60万人といわれますが、日本女性のジュエリー保有点数は平均14個なので、700万個以上が散逸している計算になります」と藤野さんは話す。
最近、質店やディスカウントストア、老舗の時計宝飾専門店などが相次いでリサイクル市場に新規参入し、業者数が増えたことも手伝って各店舗に自宅のジュエリーなどを持ち込む動きが増えている。
リペアからリフォーム、買い取り、販売(中古品)までのフルサービスを行っているため、多様な目的での来客があるというアイデクト。同社店舗には、「30代〜50代の女性は自分のために保有しているジュエリーを作り変えて楽しむ需要が多いが、60代〜80代は娘や孫などに譲るためのリフォームが多い」(藤野さん)。また、旅行や食事などの遊興費や有料老人ホーム入居金の一部にするため、宝飾品を売却する人もいるという。
同社のリフォーム価格は例えば婚約指輪の石を生かしてシンプルなリングにした場合、7万円(参考価格)と手頃。また3年間無料修理などの保証も手厚い。価格の査定は社内資格(バイヤーグレード1〜3)を持っている者が行い、店舗ではジュエリーコーディネーター(日本ジュエリー協会認定)が応対する。
買い取りサービスでは田中貴金属工業の「リ・タナカ」が全国で65店舗を展開している。これに対し創業7年のアイデクトでは、リペア、リフォームなどのフルサービスを特徴にして、14年度までに首都圏などに出店、現在の約4倍の規模となる50店舗を計画。また、有料老人ホームへの出張店舗を行うなど積極的な展開を図ろうとしている。 |
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