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“消えた年金”受給 ねんきん特別便 履歴に空白期間 |
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「同じ年代の会合などでわたしたちの経験を話しているんです」と青木亘さん、初子さん夫妻 |
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時効特例法が適用 町田の夫婦の事例
「宙に浮いた年金記録5000万件」の問題がきっかけで始まった「ねんきん特別便」の送付—。町田市に住む青木亘さん(81)は妻初子さん(80)の履歴を見て空白期間があることを発見、年金相談センターで調査した。年金時効特例法が適用された結果、約220万円の老齢厚生年金を受給することができた。
1955(昭和30)年に結婚した青木夫妻。初子さんは結婚前に2カ所、結婚後は3カ所に事務員として勤めていた。「ところが、ねんきん特別便にはそのうち4件が加入記録として記載されていませんでした」と亘さんは話す。記載されていたのは厚生年金の「あけぼの病院」(76年8月〜82年2月の66カ月)と国民年金の90カ月のみ。あとは任意加入しなかった期間(カラ期間)が171カ月。だが、初子さんは「A商店」(47年ごろから約4年間)、「B病院」(54年から約1年間)、C病院(55年から約1年間)、D工業(57年から1年2カ月)で事務員として勤務していた。
初子さんはすでに、20年前の60歳から年金を受給しているが、記録から漏れた4件分は計算されていない。それでも、夫から指摘された時に初子さんは「もうわたしはいいですよ、と答えたんです」と話す。
青木夫妻の結婚当時の女性は、会社勤めの間は年金を納めても、結婚してそのまま専業主婦になる人が多かった。そのため受給資格を満たせずに、退職時に一時金をもらう代わり受給資格を失っていた。初子さんも、「自分も一時金をもらっていたかもしれない」と思っていたという。
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阿部純二さん |
しかし、退職一時金を支給されたとの記録もないため、亘さんはある会合で社会保険労務士の阿部純二さんに会ったときにこの話をしたら、阿部さんから「念のため一度、調べてもらったほうがいいですよ」と勧められた。
後日、町田市の年金相談センターに行き順番がくるまで長時間待って、コンピューターで調べてもらうと4件のうち2件(B病院とD工業)の加入記録が漏れていることが判明。職員からその場で支給される額、2件で216万5984円が示された。「しかし、全国から同じような請求がきているので支給日はいつとは申し上げられません。あとの2件は調査します」との返事だったという。
結局、1年2カ月後の09年7月に年金時効前の5年分として69万6384円が、2カ月後の同年9月に時効特例法適用分として146万9600円がそれぞれ青木さんの銀行口座に振り込まれた。
「年金には5年の時効があるが、社会保険庁のミスで年金が受け取れず、後で加入記録の訂正が行われた場合、時効を撤廃して未支給分を全額支払うことを年金時効特例(07年7月施行)といいます」と阿部さん。
残るはまだ、確認できていない2件の分。亘さんが社保庁に問い合わせても「調査中です」と一向にらちが明かないというが、今後、この2件の解明にも執念を燃やしている。
青木夫妻は宙に浮いた年金記録が認められて支給されたお金で2月には夫婦でエジプト旅行に行く計画だ。「妻の年金は増額で支給されるし、長生きする夢が持てました」と亘さんはにこやかに話す。
年金についての問い合わせ:社会保険業務センター中央年金相談室0570-05-1165、または最寄りの社会保険事務所
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