|
「誤解を招いたのは、運用が下限ラインを下回っても元本は保証しますよ、という点でしたが、その保証の仕方は一時払いではなくて年金払いということだったんです」と話すFPの牧野なな子さん |
|
「思わぬ損失」の例も
60〜70代に人気の変額個人年金保険。定額個人年金保険よりリターンがよくて元本保証というイメージが、団塊世代など退職金の運用で悩む年代が多く購入する理由。ただ、リスクを正しく理解していないと思わぬ損失を被ることもある。
多様な商品タイプ
昨年、退職金800万円で変額年金保険を一時払いで購入したA夫さん(62)。最近、運用成績の悪化で元本保証が外れ、(1)払込保険料の80%を一括で受け取るか、(2)同保険料の15分の1ずつを15年で受け取るか─のどちらかを選択しなければならなくなった。60歳で払い込んで70歳時に一括で受け取り介護関係に使うとの生活設計に狂いが生じたA夫さんは「なぜ?」と狼狽(ろうばい)するが…。
変額年金保険が本格的に日本で販売されたのが2002年10月。銀行での窓口販売が始まり、個人年金の新契約件数のうち約40%を占める“大ヒット商品”になった。この原動力になったのが退職金を受け取ったシニア世代。銀行の定期預金では超低金利に不満だし、かといっていきなり未経験の株式や投資信託は危険が大きいからだ。変額年金保険は、ほどほどのリスクとリターンが見込め、元本保証が付いているものが人気。しかし、A夫さんが購入した商品は、運用成績が悪化して元本の80%以下になれば株や投信などでの積極運用を停止する仕組みになっていた。
|
宮里恵子さん |
長所、短所を確認
ファイナンシャル・プランナー(CFP)の牧野なな子さんは「同じ変額年金保険でもいろんなタイプの商品があるので、中身をしっかり理解しなくては。理解できないものは買わないことです」と話す。
ファイナンシャル・プランナー(CFP)の宮里惠子さんは、変額年金保険について主な4つのメリットを挙げる。(1)定額型より運用益が多く見込める(2)保険なので控除の対象となる(3)仮に持病などがあっても加入できる(4)受取人を指定できるので相続に利用できる─。一方デメリットは、「手数料が約5%と高くもし生保が破たんした場合、責任準備金の90%しか保証されません。また、解約手数料が契約後1年以内で7%と高い」と話す。
生活設計を考えて
変額年金保険には基本型、到達目標設定型(ターゲット型)、最低保証引き上げ型(ラチェット型)、早期年金開始型─の4種類があり、この中から自分の生活設計に適した商品を決めるのがポイント。
昨年12月、生命保険文化センターが千葉で開催した変額年金保険の正しい商品知識とリスクをテーマとした初のセミナーには数多くの質問が寄せられ、関心の高さをうかがわせた。同センターの小熊尊文さんは、「変額年金は保険とはいえリスクがあり投資性の強い商品であることを忘れてはいけません」と話している。
変額年金保険など生命保険についての無料相談
生命保険文化センター相談専用直通/TEL03-5220-8520=祝日を除く月曜〜金曜午前9時半〜午後4時 |
|
| |
|