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遠藤英嗣公証人 |
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遺言書を書かなかったために、残された妻やこどもなどの家族が思いも寄らなかった“損害”をこうむることにもなりかねない。今回は、夫の死後養女の存在が発覚した母子のケースを蒲田公証役場の遠藤英嗣公証人に紹介してもらった。
「夫婦とこども1人の家族で夫が死亡したあと養女がいることが分かった」
妻AさんとこどもCさんは自分たちだけが相続人だと思っていたが、Dさんを養女にしていたことが分かった。
Bさんは若いころ知り合いだったEさんの子Dさんを「しっかりした親権者が必要」と養女にしていた。その後病弱だったEさんが亡くなり幼かったDさんは親戚が育てることになった。その後50年以上たってAさんが相続の登記をしようとしたら北海道に住んでいたDさんの存在が分かったのである。相続人は3人になった。 遠藤さんは「養女関係は慎重に考えるべき」と話す。「AさんやCさんとまったく付き合いのないDさんですが実子Cさんと同等の立場になります。一度養女になればBさんが生前、養女関係を解消したいと思っても一方的にできません。(解消には)お互いの同意が必要になるのです」 妻やこどもに財産をゆずりたいなら自分の意思をきちんと遺言書の形で残しておくことがトラブルを防ぐ一番の方法だ。まだ、日本人は遺言を書くことにためらいがあるが、そのうち「遺言が当たり前の時代になる」と予想する関係者も多い。
東京法務局所属蒲田公証役場
TEL:03-3738-3329 |
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