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和田由貴さん |
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省エネ進め節約
「カップめんが2倍になった」「スパゲティの内容量が減って価格が上がった」―家計を預かる主婦から物価の上昇を訴える声が聞かれる。賃金や銀行の預金金利がほとんど上がらない中での生活関連の物価上昇は家計の状況を悪化させる。専門家は、これを契機に“省エネを楽しむ”生活志向を勧める。
「食費は毎月2万円でまかなうようにしてきたんですけど、最近これでは納まらないことが多いですね」と話すのは、都内在住の主婦・Aさん(35)だ。子供が小学校6年生と2年生の育ち盛りとあって、食べる量が増加していることもあり最近、毎月の食費は2万数千円にアップした。このままでは家計が赤字になりかねない。
特売日にまとめ買い
子供の好きなパンやカップめん、スパゲティなどの加工食品は値上がりしているため、食卓に出す回数を減らし肉、野菜、魚などを料理するようにした。ただ、特売日に食材をまとめ買いしても残して腐らせないよう使い切る工夫するため、献立づくりには苦労することに…。
Aさんのように「物価の値上がりに対し“知恵”を絞る」という主婦の動きが各家庭に広がってきた。夫の給料は上がらず、銀行預金も超低金利のままと、お金の入りが増えない中で生活コストを抑えるには節約しか方法がなさそうだ。
苦しい年金生活者
物価上昇は収入がほぼ限られる年金生活者にとってさらにきつい。
東京郊外に住む主婦・Bさん(65)はガソリンの値上がりに頭を痛める。買い物などに1日何回かクルマを運転していたが、1リットル170円台を機に友達付き合いを減らすなどで外出の用事をまとめ、クルマに乗る頻度を減らしたと言う。
都区部6月の物価は前年同月比で1.5%上昇(消費者物価指数=速報値)し、昨年10月から9カ月連続で増加した。原油や穀物、鉱物資源の大幅な輸入価格の上昇による影響で食料品だけでなく、電気料金の引き上げやマンション価格の値上がりなど “コストプッシュ”型のインフレ傾向はさらに強まる。
インフレになると銀行預金は実質目減りする。株や不動産、債券への投資は、やり方次第で効果が見込めるが、サブプライムローン問題で不安定な価格変動に逆に巻き込まれ損する危険も大きい。
「国内の株や不動産などに投資しない方がいい」と話すのは、ファイナンシャルプランナーの浅賀卓爾さん(50=ロシア専門の証券会社・アルジゲート証券社長)。資源インフレに“勝てる”金融商品が日本にはなく、「国際感覚を磨いて英ポンドやユーロなど米ドル以外の外貨投資がインフレ対策の有効な手段になります」と言う。
家計簿で支出確認
危険が伴う投資や運用が苦手な人で、無駄な支出を減らすには“古典的”だが、家計簿をつけること。「家計簿をつけるのは苦手」という人にも簡単にできる家計管理の仕方が、節約アドバイザーの和田由貴さんが10年前から実行している「袋分け」家計管理法である。
銀行に置いてある袋を食費・雑費、外食・交際費などに分け、費目ごとに予算を決めて1カ月分の現金を入れておくだけでよい。ポイントは予算内でまかなうことだ。和田さんは、「家計簿は面倒だし、数字をつけることに一生懸命になるのも何か本末転倒だと思って始めました」と話す。光熱費や保険、住宅ローン、子供の給食費などは銀行口座別に通帳で管理している。
エコ家電に買い換えも
それでも“限界”なら、思い切って家電製品を最近の省エネタイプに買い替えるのも手だ。想像以上に水光熱費の節約になると和田さんは言う。「エアコン、テレビなどに張ってある経済産業省の『省エネラベリング制度』表示も参考にするとよいですよ」。省エネを楽しむという発想で生活すると、今まで気づかなかった節約法が見えてくるかもしれない。
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